日本犬の本質と家庭犬として資質

正法眼蔵荘

2017年11月30日 19:05

柴犬を飼われている方でも多くの方々が、柴犬とは縄文時代から続く生粋の日本の土着犬で元は狩猟犬であることは知っています。ですから固体の持つ習性や性格、基本的な内面のあり方や外見など「柴犬」として広く理解されていますが、現在の柴犬は日本犬保存会の会員などが犬種の固定化によりスタンダードが保たれた一つの結果が「今の柴犬」かと思います。



ただ、日本も日本人も時代と共に生活スタイルや文化が変化し、特にこの何十年かは飛躍的に変わったと思います。外飼いから中飼い、エサは驚くべき高品質なもの、医療の進歩、一番は飼う側の人間が昔と違い裕福であることです。
北海道の北部や樺太地域に固定されていた「樺太犬」などは戦中戦後に貧しい暮らしの中で食料となり絶滅したと云われています。柴犬も同様、例外でもなく食糧難では相当な数の犬達が犠牲になったと耳にしました。



日本犬保存会が数少ない柴犬から現在の柴犬に固定していく過程は相当な苦労があったようです。これは外国の犬種でも同じ苦労があり、一つの形を長い年月維持させることが如何に大変かは一般の飼い主様では理解出来ないものかもしれません。
今、我々が「柴犬」としてイメージしている犬の姿は一昔前では「この犬、雑種?」と見えたかもしれません。そういう意味では日本犬保存会よりも柴犬保存会(通称、「柴保」)の方が本来の柴犬に近いようです。



しかし、現在の家庭事情や飼育環境などから柴犬はごく普通の家庭犬に位置づけされています。逆にこの平成の現在では、一般の飼い主様がメインの需要になっていますから家庭犬としての資質が備わっていなくては淘汰される犬種になってしまいます。
犬を飼う目的は、大まかに家庭犬・訓練犬・使役犬などありますが殆どが「飼い犬」になりますから如何に飼い易く愛されるかが重要になってきます。昔、私が子供の頃母親に「あそこの犬は噛むから近寄るのいけないよ!」と注意された記憶が多々あります。今はそういう犬は存在しにくい環境になっています。
犬を作出する側も、飼いやすい性格とか人間に従順であるという面を大いに考慮するようになっています。すれば、本来の「本質」から逸脱するケースもありますが両方の資質を持つ家庭犬はなかなかおりません。やはり近代のペット事情なども考えて、家の中でも飼える家庭的な柴犬を求める方が多い現状を踏まえて作出を考えるそんな時代なのかも知れません。





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