柴犬の胡麻毛
先日、「柴犬の胡麻毛ってどうやって判断するのでしょうか?」というご質問がありました。その方に返信はしましたが折角なのでこのブログでも触れたいと思います。
まず、柴犬の毛色は「赤」「黒」「胡麻」「白」と4種類あります。その中で「胡麻」ですが、胡麻毛にも「赤胡麻」「黒胡麻」と2種類あります。基本、胡麻毛はまず滅多に産まれません。絶対頭数がとても少なく、意図的に作出してその毛色が出るという確率も非常に低いのです。
胡麻毛は子犬を作出した人が血統書の申請を行う際に「毛色」について記載する箇所に「赤胡麻」か「黒胡麻」を記入して毛色を登録しますので、質問の答えは「作出した人が決める」となります。しかし、一旦「赤毛」で申請したが成長と共に「胡麻」になった珍しいケースでは血統書の毛色を変更することも可能です。
画像の犬は作出した私も生まれたばかり「胡麻」かな?と毛色の登録の際に悩みました。しかし、「胡麻」で登録して胡麻にならなかったら申請が面倒だなぁと思い「赤毛」で申請しました。案の定、成長していく過程で頭部額段に胡麻らしい毛色が出なかったので胡麻毛ではありませんでした。この辺りが難しい判断になりますので作出者の多くは仮に胡麻毛であっても「赤毛」で登録される方が多い事実もあります。
画像の犬のように胡麻毛は身体全体にしっかりと胡麻らしい毛色を有していなければなりません。特に頭部のあたりは赤い剛毛と黒い剛毛が綺麗に混ざり合って一見して胡麻だなと判るようになっている犬は少なく、赤毛の黒差しと胡麻毛との差がよく判りますね。
私の経験では、胡麻毛は基本両親や近親に胡麻毛の犬が入っていないと出ない毛色と思っています。黒差しの濃い赤毛から稀に胡麻っぽい犬が生まれることもあるようですが、綺麗な胡麻毛はやはり胡麻毛の系統から出るものだと思っています。
それでは胡麻毛の確率はいかなるものかと言いますと、正確なデータが手元に無いので詳しく分かりませんが柴犬全体で2~3%くらいではないでしょうか?同じ日本犬で四国犬などではスタンダードな毛色ですが柴犬ではかなり希少な毛色です。ご質問頂いた方は、人に「この子は胡麻じゃないの?」と言われ、血統書を見たら赤毛なので如何なものかと思ったようです。画像だけでは正確な判断は出来ませんが、恐らく黒差しの濃い赤毛だと思いました。結論から言いますと、胡麻毛は簡単に出てくるような毛色ではありませんし完璧な胡麻毛の犬はなかなかお目に掛かれません。もし、ご自身のお飼いになっている柴犬が胡麻毛だとしたら非常に珍しいものだと思って間違いありません。日本犬保存会の展覧会でも「これぞ胡麻!」というお手本のような犬は殆ど見かけることが少ないので、柴犬の胡麻毛は存在自体大変価値があるものだと私は思っています。当犬舎で以前飼育していた画像の胡麻毛の犬も人に言わせれば悪い評価もありました。それくらい判断基準も厳しく見られる希少な配色だと思います。
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